総数84点の応募があった「第38回しなの追分写真コンテスト」(2023年度開催)の審査結果です。
審査委員長 丹地保尭先生の講評
今回も一般の部、子どもたちの部ともに、回を重ねるごとに全体の写真がレベルアップしてきているのは喜ばしい。
一般の部グランプリの中里玲子さんの作品「やまゆり咲きて追分の夏」は、以前の紅葉の時期の写真もよかったが、今回は手前の一連の百合の花の流れるようなあしらい方と、斜めからの釣鐘堂の構図に工夫が感じられて、グランプリに相応しい美しい作品になっている。
小学生の部グランプリの樋泉海さんの浅間山の作品は、その一瞬にしか捉えられない鳥のような雲や空の色合いが美しく、大人顔負けの素晴らしい出来栄えである。浅間山の写真は今回も多数の応募があったが、作者の視点がユニークで惹きつけられる写真であった。
中学生たちは題材に個性的なアイディアが多く面白いが、写真の技術的にはもう少しテクニックの勉強が必要かもしれない。例えば荒井さんや澤田さんの作品も、空と芝生や雪の分量とバランスを変えてみたり、構図を意識するだけでもだいぶ作品の質か違ってくるであろう。視点が面白いだけにそこは少し惜しい。
ともすれば、追分の四季部門は浅間山の景色や泉洞寺の紅葉、馬子唄部門だと南京玉すだれの子どもたちなど、画一的などこかで見たような写真になりやすい。その場合きちんとした構図を考えるのはもちろん、印象的な何かを加えるなどの工夫をしたり、その瞬間にしか捉えられないものを切り取るなど、撮影者の意図が感じられると写真が面白くなる。単なる美しい景色や楽しそうな人々を撮影するだけでは、作品というよりスナップ写真の域にとどまってしまう。
写真というものは、撮影者その人の五感で感じるものや、その人らしさが出ていた方が見る人の心に届くものだ。普段から撮影する時に、自分なりの工夫を凝らしたり感じたことを多彩に表現できるよう心がけてみてはいかがだろう。
一般の部グランプリ
中里玲子
やまゆり咲きて追分の夏
一般の部 準グランプリ
津金沢周子
初夏の風
小学生の部グランプリ
軽井沢町 樋泉海
大空へ羽ばたく鳥〜大日向からの浅間山
中高生の部 グランプリ
軽井沢町 樋泉こころ
移りゆく秋〜泉洞寺〜
ショート動画 グランプリ
軽井沢町 加藤美穂
手づくりランタン
ショート動画 準グランプリ
軽井沢町 松原絢音
まごうた – Utopia
敬称を略しました。
賞に対して受賞作が少ない部門については該当なしとなります。
入賞者の方々へは個別に連絡を差し上げましたが、賞金、賞品の準備が整いましたので、郵便局へお出かけください。振り込みご希望の方へは送金させていただきました。また入選作以外に返却希望のお写真がある方はこちらも郵便局でお引き取りいただけますようお願いします。